願わくば、再びあなた様と熱い口づけを。
彼が私の手を引いて走り、私もまた全力で走り出します。
ですがすぐに私たちは捕まってしまい、力ずくで引き離されてしまいます。
「十五! 十五っ!!」
手を伸ばし、必死に十五の手に触れようとしますがその手が届くことはありませんでした。
あっという間に私たちは引き離され、互いに触れることが叶わなくなりました。
私はというと仕置きと見せしめとして木に身体を縛り付けられ、鞭で身体中に傷を付けられました。
頭から井戸の冷たい水をかけられ、身体の感覚がなくなってもそれは続き、意識を飛ばしました。
真っ暗闇の中、私が目にしたのは幼い私と十五の姿でした。
「葵! お前また泣いてるのか?」
「だって……姐さんたちが私のこと気味が悪いって。青い瞳だなんてモノノ怪のようだと」
「そんなことない! お前は綺麗だ! 俺は絶対にお前のこと忘れないぞ。こんなにも綺麗なやつのこと、忘れてたまるか!」
「……ありがとう」
その小さな恋がいつしかこんなにも大きくなっておりました。
貴方がいとしくていとしくて、周りに嫉妬したのです。
すべてを投げ出そうとしてしまうまでに貴方をお慕いしていました。
貴方と見る世界はどれだけ美しかったのだろう。
貴方の手を取って新しい光景を見ることがどれだけ楽しかったのだろう。
思いを馳せると私は涙を流しながらも、描くことのできた未来に笑みを浮かべました。