死神?・・は・・・私の・・・?
16:00から麗香のCT検査が行われた。検査台に寝かされ、頭を固定され筒のようなところを通る。ゴン・ゴンと機械の音がして・・・それだけ。ちょっとドキドキはするけど痛くもかゆくもない検査。あっと言う間に終わる。直ぐに画像がパソコンに転送されて、輪切り状態で次から次へと画像が重ねあっていき、それからはいろいろな角度で見ることが出来る。
亨は腕組みをして袴田の操作する画像を見ている。
「袴田君、ゆっくり見ていこう。」
「はい。」
「もう一度だ。・・・もう一度! 」
二人は何度も繰り返し見た。
「もー、どうなのよ。」
麗香はじれて二人に声を掛けた。
袴田は亨の顔を見ている。
「麗香・・・なにも無い。綺麗だ。血栓は消えた。厄介なところにあったのに・・・なぜだ・・・」
「ほらね。無いって言ったでしょ。」
「あっ、ああ。今日のところは無い。でも一時的に消えたのだと思う。こまめに検査しよう。」
「はーい。わかりました。ネエ亨、もう起き上がってもいい?」
「あ、ああ。ゆっくりな。」
亨は優しい声で言いながらも眉をしかめていた。
袴田は麗香が起き上がるのを手助けした。
「大丈夫ですか?」
「ええ、平気。でも1週間動かないと首も弱っている感じ。」
「そうですね。すぐには立ち上がれないと思いますし、歩けないとも思います。ちょっとリハビリもしましょう。」
「わかったわ。」
「亨、あと何日かは入院しないとダメ? 直ぐにでも出たいけど。」
「何言ってるんだ。ゆっくりしろ。無理したらだめだ。リハビリして、もう一度検査してそれでも何もなかったら退院だ。」
― べー、有るわけないじゃん。ゆっくりなんかしませんよーっだ!

「ねー、どうなっているのよ。」
「わからない。血栓は残ってたのに、何も無くなっている。」
「ちゃんと残したんでしょ。どうしてよ。じゃあ、生きちゃうってこと?」
「・・・ああ、そういうことだ。」
「あー、院長夫人になれるって思っていたのに・・・もー、どうにかしてよ。」
「・・・無理言うなよ。」
亨は、女は恐ろしいと林田の後姿を睨んだ。
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