死神?・・は・・・私の・・・?
退院してから1ヶ月が経過した。事故のことがウソのように、体調はすこぶるいい。あれは夢だったのかと思う程で、麗香は毎日診察に心血を注いだ。死神のことなどすっかり忘れていた。
診察が終わった夕方、麗香は診察室を出て事務局に向かった。2階から1階に階段を降りようと角を曲がったその時・・・誰かに背を押された。
「キャっ!」
麗香は二段滑って落ちたが、手すりにつかまれた。そこに丁度階段を駆け上がって来た成形外科科の三枝が身体を押さえてくれたので、大事には至らなかった。
「おい、大丈夫か! あれ? 麗香先生? 大丈夫ですか?」
「あー、三枝先生・・・助かりました。ありがとうございます。私誰かに押されて・・・」
「えっ? 誰ですか? とんでもないことだ。何か覚えていることは? 」
「・・・いえ・・・何もわかりません・・・」
「怪我は? 足はくじいたりしていない?」
「はい。打ち身程度かと。でも手首が・・・少し痛いような・・・」
三枝は麗香の腕をさわった。
「ここ痛い?」
「ええ、少し。」
「麗香先生、ちゃんと診察しましょう。」
三枝は麗香を診察室に連れて行った。
「麗香先生、足は大丈夫だね。ちょっと擦りむいただけだ。手は軽い捻挫です。湿布だけで大丈夫ですよ。」
「良かった。それに左手で幸い・・・」
「しかし、誰なんだ。わざとだとしたらとんでもないことだ。麗香先生、これからもくれぐれも気を付けてくださいよ。」
「はい。三枝先生。ありがとうございました。お手数おかけいたしました。」
麗香は三枝に丁寧に礼を言って診察室を後にした。
麗香は昔この三枝が好きだった。でも三枝は父とは出身大学が違った。それにバツイチで年も10歳上だったので父は三枝のことは見向きもしなく亨を押したのだった。
麗香には犯人の目星が付いていた。林田の付けているヘアワックスの匂いがかすかにしたのだ。
― やってくれるじゃない。私を殺す気? いい加減にしなさいよ。いくら何でも許さない。
— 死ぬのは私じゃない。あなたが死ねば・・・
診察が終わった夕方、麗香は診察室を出て事務局に向かった。2階から1階に階段を降りようと角を曲がったその時・・・誰かに背を押された。
「キャっ!」
麗香は二段滑って落ちたが、手すりにつかまれた。そこに丁度階段を駆け上がって来た成形外科科の三枝が身体を押さえてくれたので、大事には至らなかった。
「おい、大丈夫か! あれ? 麗香先生? 大丈夫ですか?」
「あー、三枝先生・・・助かりました。ありがとうございます。私誰かに押されて・・・」
「えっ? 誰ですか? とんでもないことだ。何か覚えていることは? 」
「・・・いえ・・・何もわかりません・・・」
「怪我は? 足はくじいたりしていない?」
「はい。打ち身程度かと。でも手首が・・・少し痛いような・・・」
三枝は麗香の腕をさわった。
「ここ痛い?」
「ええ、少し。」
「麗香先生、ちゃんと診察しましょう。」
三枝は麗香を診察室に連れて行った。
「麗香先生、足は大丈夫だね。ちょっと擦りむいただけだ。手は軽い捻挫です。湿布だけで大丈夫ですよ。」
「良かった。それに左手で幸い・・・」
「しかし、誰なんだ。わざとだとしたらとんでもないことだ。麗香先生、これからもくれぐれも気を付けてくださいよ。」
「はい。三枝先生。ありがとうございました。お手数おかけいたしました。」
麗香は三枝に丁寧に礼を言って診察室を後にした。
麗香は昔この三枝が好きだった。でも三枝は父とは出身大学が違った。それにバツイチで年も10歳上だったので父は三枝のことは見向きもしなく亨を押したのだった。
麗香には犯人の目星が付いていた。林田の付けているヘアワックスの匂いがかすかにしたのだ。
― やってくれるじゃない。私を殺す気? いい加減にしなさいよ。いくら何でも許さない。
— 死ぬのは私じゃない。あなたが死ねば・・・