長嶺さん、大丈夫ですか?
「っ……、大変、申し訳ございませんでした……!」


 長嶺さんは何か言いたいものを飲み込んで、背中を向ける社長に、頭をさげた。



 ――ここの社長さん相変わらずいい人だよな



 ……ひどすぎる。

 長嶺さんはいつだってお客様第一で

 社長のために、会社のために真摯に、真面目にやって来たのに

 どうしてこんな仕打ちを受けなきゃいけないの


 
 私はギリッと拳を握って、長嶺さんの前に飛び出した。



「長嶺さんは低俗なんかじゃありません!!」

「っ、花樫さん……?」


 社長が「あ゛あ……?」と迫力満点に振り向く。

 私は長嶺さんの制止を振り切って前のめりになった。


「長嶺さんはいつだって誠心誠意仕事しています!社長が困らないように部長に無理言って納期早めてもらったり、自社の儲けにならないようなことまで忙しい仕事の合間とか業務時間外にコツコツ調べるような人ですよ!?社長に信頼してもらいたいからって!社長だっていつも長嶺さんの仕事ぶりを褒めてたじゃないですか!私はどれだけ長嶺さんが真摯にやって来たか知ってます!!ずっと見てきたんですから!社長だってそうでしょう!?」

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