長嶺さん、大丈夫ですか？

「……」


　社長も思うところがあるのか、床を睨みつけて黙り込んだ。


「花樫さん、もういいから……落ち着いて」


　そう言って私の肩に手を置く長嶺さんに振り返って、ギッと睨みつける。


「っ、長嶺さん！どうしてもっとちゃんと否定しないんですか！麗華さんが言うようなセクハラ、長嶺さんが仕事中にするわけないじゃないですか！！」

「は、はい、すみません」


　なぜか謝る長嶺さんを振り払い、今度は社長にずんずん歩み寄る。
　容赦なく近づく私に少し後ずさった社長の、腕に鎮座する虎にも負けない勢いで声を爆発させる。


「見損ないました！！娘の虚言のためにこんな好条件の契約を白紙にするなんてどうかしてます！！自分の娘の嘘くらい秒で見抜けよ！このすっとこどっこい！！」

「すっ……！？」