長嶺さん、大丈夫ですか?
⌒* ⌒*




 そして私たちは、帰りの車の中にいた。


「「……」」


 私は両手で顔を押さえ、糸より細い声を漏らす。


「本当に……申し訳、ありませんでした……」


 ご立腹となった社長の〝金輪際関わらないでくれ〟という言葉を最後に、契約はしっかりと白紙となった。
 こちらがきちんと最後まで対応していれば、万が一麗華さんが真実を話してくれたとき事態が好転するかもしれない。 長嶺さんはきっとそこまで見越して、自分を押し殺してでも誠意ある態度を見せていたのだ。
 それなのに私ってば、感情に任せて、なんてことを……。


「ぶはっ」


 長嶺さんが、噴きだして笑い出した。


「っ、笑わないでくださいよ!」

「ごめ……っ、くッ……」


 涙目の私に対し、長嶺さんはこらえきれないくらい面白いらしく、顔を突っ伏して肩を震わせて笑っている。


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