長嶺さん、大丈夫ですか？
「……こういうところがダメなんですかね」

　長嶺さんや東さんからしたら、私はどうしようもなく子供で、〝可愛い〟以上になれない存在。

　あくまで保護すべき対象で、恋愛対象にはなれない。

「大人になるって、どうやったらできますかね」

「……あのね、花ちゃん。私が思うに、長嶺はわざと……」

「わかってます」

　長嶺さんが、わざと私を傷つけるようなひどい態度をとって自分が嫌われるように仕向けてるってことぐらい。
　そうすれば私の気持ちが薄れて、私の辛い気持ちもおのずと薄れると思ってるんだ。
　つまり私のためだって、子供な私でもわかる。
　だって、そういう長嶺さんを好きになったんだから。

「知りませんでした……恋ってただの道楽だとばかり」

　アユコや友達が楽しそうに恋バナするのを、私は心の中でバカにしながら聞いていた。
　恋なんて暇な人がするものだって思っていたから。
　その割にすり減るものが多い、ギャンブルみたいなものだと思っていたから。
　……でも、そうじゃなかった。
　恋はしようとしてするものじゃなくて、〝落ちる〟もの。
　バカなのは私だ。
　井の中の蛙だ。
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