長嶺さん、大丈夫ですか?
 そこで俺は、最近女の子たちの間で光の付き合いが悪いと話題になっていたことを思い出す。

 中には『ホテルに誘ったのに、のらりくらりとかわされいつの間にか一人でタクシーに乗せられていた』とか言う女の子もいて。
 それを聞いた時、脳みそのほとんどが性欲で出来てる光のすることと思えなかった俺は、女の子が何か勘違いしてるんだろうとその話をテキトーに受け流した。

 だけど、今なら光が女の子とホテルに行けなくなった理由がわかる。

 俺は無防備にさらされたうなじのホクロに問いかける。


「もしかして理子ちゃんのこと本気で好きになっちゃいそう、とか?」
 
「……」

「……」

「…………」


 うなじのホクロは、なにも言わない。
 どうやら図星嶺光くんのようだ。


「っ、あー!もぉーーー!!」


 図星嶺くんは突然起き上がって叫び出す。


「めんどくせぇんだよ!!」


 それから開き直った光による魂の雄たけびが始まった。

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