長嶺さん、大丈夫ですか?

本気になった人。


 
「そう、そんなことに……くふッ、っ、それはたいへ……、んふッ」


 水曜日、快晴の昼下がり。

 陽光が降りそそぐ屋上では、ノイーズ社員たちがご飯を食べたり一服したり、自由にゆったりと休憩時間を過ごしてる。

 私はオフィスビルが立ち並ぶ街を柵越しに一望できるベンチで東さんと二人、ランチミーティングもとい、報告会をしていた。

 告白?されてお持ち帰りされた翌朝、長嶺さんを置いて逃げ出したこと、それから長嶺さんを怒らせて本気にさせてしまったことを洗いざらい話すと、東さんはこの通り、笑いが止まらなくなってしまった。


「東さん、笑いすぎです…」

「ごめ……んっふ」


 カップの辛口担々麺を食べ終えた東さんは、コーヒーを片手に俯いて肩を震わせながら、懸命に笑いを堪えている。

 その横で私は、東さんどれだけ胃袋痛めつけたいんだろ、と思いながらお弁当の切り干し大根煮を口に入れた。


「はー、ごめんごめん。朝チュンで逃げられる長嶺とかメシウマすぎて。はーおもしろ」


 東さんはタバコに火をつけて明後日の方向に煙を吐くと、ようやく落ち着きを取り戻したようだ。

 こんなに笑われてしまうと、長嶺さんに申し訳ない気持ちになってきて、東さんに話したことをちょっと後悔してくる。

 聞きたかった本題に入ろうと、私は東さんの方に向きなおった。


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