長嶺さん、大丈夫ですか?
「私、やっぱり遊ばれてますよね? 長嶺さんが私なんかに本気になるわけないですよね。 本気で好きとか、もう女の子とは遊ばないとか……きっと女の子みんなに言ってますよね!?」


 なんで私がこんな必死になってるかと言うと、ここでちゃんと東さんに頷いてもらわないと心が簡単に折れてしまいそうだから。


「いや、長嶺が言うなら本気なんじゃない?」

「え!?」

「花ちゃんで遊ぶほど長嶺はクズじゃないと思うなー。それに一回逃げられてるのにわざわざ告白してきたんでしょ?本気のやつよ、それ」


 そう言って東さんが余裕たっぷりの笑顔を添えるので。


「う、嘘です!長嶺さんモテるのに!私みたいなお堅い地味女選ぶ必要あります!?」

「そういうのって理屈じゃないでしょ。花ちゃんが一番よくわかってるんじゃない?」

「っ」


 ……確かに。

 理屈で片付けられるものだったら、私は長嶺さんを好きになってない。


「両想いやったじゃん~。 余計なこと考えないで、素直に受け取っときなさいよ」


 東さんにそこまで言われてしまうと、これまで必死に長嶺さんを信じまいとしていた決意が簡単に鈍る。

 それでも思い切って長嶺さんの胸に飛び込む気になれないのは、父に裏切られたあの日と、痩せ細って呆然とする母の姿を思い出してしまうから。


「それに長嶺って、本気になったら案外一途な男なのよ」

「……」


 長嶺さんが……一途……?

 東さん、何か知ってるのかな。


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