長嶺さん、大丈夫ですか?
「東さんって長嶺さんと仲良いですよね」

「あら。嫉妬?」

「あ、違います、そうじゃなくて、お二人とも同僚の中でも特に気を許してる感じがするので……長嶺さんのことよく知ってるのかなって」

「あ、言ってなかったっけ。私大学のバスケサークルで一緒だったのよ」

「!初耳です……!」


 東さんはスマートフォンを操作して、ほら、と私に見せてくれる。


「……!」


 その写真には、バスケットボールを手に笑顔で写る大学生たち。

 若々しい東さんと一緒に写る長嶺さんは、


「金髪……!!」


 今の爽やかな黒髪とは違う、少し長めの金髪だった。

 かっ、かっこいい……!

 新鮮!

 ちょっとあどけない! 可愛い……!!


「っ……、」


 本音が出ないように口元をおさえて悶絶する私の顔を覗き込んだ東さんが、ニヤリと笑う。


「バスケしてる写真、共有アルバムにあるけど。あげよっか?」

「……」


 私は口元を押さえたまま、首を縦に振った。

 東さんがシュポシュポと送ってくれるフレッシュ長嶺さんを真顔で受け取って全保存しながら、やたら長嶺さんの近くでうつろうとする女の子たちが気になる。


「……長嶺さんって、大学時代もやっぱり女の子とたくさん遊んでたんですか?」

「ううん、全然」


 予想外の回答に東さんの顔を見ると、東さんは昔を思い出してるのか、微笑んで写真をひとつひとつ眺めている。


「長嶺のこと好きだっていう女の子はたくさんいたけど、長嶺はずっと優花ちゃんって子を好きでね。 一途すぎて泣けてくるくらー……」


 と、そこで東さんがはっと顔をあげて、しまった、と書いてありそうな顔で私を見た。


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