長嶺さん、大丈夫ですか?
「今日は一人? どうやって帰んの?」

「えっとね、唯くんがここまで連れてきてくれて……」

「え、唯くんいんの?」

「うん! 子供たちと一緒に車にいる!」


 唯くん……?

 優花さんの旦那さんのことだろうか。


「子供たちって、双子ちゃん?うわー絶対可愛いじゃん、会いてぇな……唯くんパパのこといじりに行っていい?」

「フフッ、いいよ〜! 裏の第一駐車場だよ!」

「おっけー。 花樫さんごめん、外寒いしここで待っててくれる?すぐ戻る!」

「あ、はい」


 私が頷くと、長嶺さんがふと私を見て立ち止まる。


「その格好寒くない? 外ほどじゃないけど、ここも風入ってきて寒いだろ。 コート着なよ」 

「いえ、大丈夫です。コートを着るのはお客さんの会社を出てからと決めているので」

「なにそのこだわり。いる?」

「マナーですよっ」

「えー? ここもうほぼ外だろ。 なあ?」

「はい!ここは外です!」


 優花さんがビシッと敬礼のポーズをしてみせた。


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