長嶺さん、大丈夫ですか?
「長嶺さんにトレーナーしてもらってる後輩の、花樫です」


 私は事務的に軽く頭を下げた。

 優花さんはそれを聞いてなぜかパァ、と表情を明るくさせる。


「花樫さん! みねくんがトレーナーかぁ、いいねぇ! きっといい先輩でしょ~!」

「……まぁ、はい」


 だめだ、やっぱり感じ悪くなっちゃう。

 優花さんがいい人であればあるほど、気持ちがすさんでいく。

 これ以上不機嫌が滲み出ないように足元を見て耐えていると、熱い視線を感じて、恐る恐る目をむける。

 無垢な目をした優花さんが、じぃ……と食い入るように私を見つめている。


「……? な、なんですか……?」


 ……かわいい。

 もし私の恋愛対象が女の子だったら、好きになっちゃいそうだ。

 私とは正反対の小動物っぽさ。

 ……やっぱりこういう人が、長嶺さんのタイプなんだろうか。



「……っあの!」


 優花さんが前のめりで目を輝かせるので、私は少し後ずさる。
 

「は、はい」

「みねくんのこと、どう思いますか!?」

「えっ?」

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