長嶺さん、大丈夫ですか?
「体冷えるぞ。 はよこい」


 そこには、CGみたいに顔の整った男性が立っていた。


「あ、はーい!」


 優花さんが元気に返事をして、その人の元へ行く。

 私はその男性から目が離せなくなった。

 ……顔が整い過ぎている。 あまりにも整い過ぎている。
 テレビやスマートフォンの中ですら見たことのない完璧イケメンに、知的好奇心が騒いでじっくり見てしまう。

 あの人が、旦那の唯さん?

 唯さんは自分の元にやって来た優花さんに、手にしていたマフラーを巻き付けると、私の視線に気づいて目を合わせる。

 その存在感の強い三白眼に絡め取られて、ドキッと心臓が跳ねた。


「あっ、えっと、主人の唯です!」


 優花さんが私に向かって満面の笑みで紹介してくれると、無表情の唯さんが私にペコッと軽く頭を下げる。


「どーも」

「あ、ど、どーも」


 うわ~、すごい。
 こんな人初めて見た、何者だろう。
 俳優さんとか生で見たらこんな感じなのかな。 学生時代とかきっと、相当モテたんだろうな。

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