長嶺さん、大丈夫ですか?
家に遊びに来てって言われて、わかったー…って、さすがに社交辞令だよね……。
いくら長嶺さんの背中を見つめたって、長嶺さんの心の内はわからない。
東さんの話では、長嶺さんは優花さんにずっと一途だったと聞いたけど……二人は付き合ってたんだろうか。
長嶺さん、唯さんとも仲が良さそうに見えた。 過去、何があったんだろう。
少し歩いて自分たちの車がある地下駐車場に到着すると、私たちはいつものように乗り込んだ。
「そうだ、ユメアリフーズの件は忘れずに日報に入れといてねー」
「あ、わかりました」
仕事モードに戻った長嶺さんはシートベルトをつけながら言って、私もシートベルトを伸ばしながら横目で長嶺さんを窺い見る。
相変わらずきれいな横顔に、胸がキュンと疼く。
長嶺さんはいま、何を考えてるんだろう。
「あの……」
「んー?」
私はごくりと生唾を飲み込む。
「優花さんとはどういう関係だったんですか……?」
私が恐る恐るした質問に、長嶺さんは無表情を寄越す。
「……」
長嶺さんは黙ったままで、してはいけない質問だったかと後悔する。
「すみません、立ち入ったこと聞きました、忘れてくださ……」
「元カノ」
その瞬間、車内の重力がぐっと重たくなったような気がした。