長嶺さん、大丈夫ですか?
予想外の言葉に、顔を上げた。
「……え?」
「すーげぇした」
した……って、嫉妬を?
ため息をついた長嶺さんは、私から目を逸らして独り言のように話し始める。
「正直、優花に会うの怖かったんだよ。 本気で好きだったから。 また気持ちがぶり返して辛くなるんじゃないかって、怖かった。 でも全然そんなことなくて、唯くんと幸せに暮らしてんだってわかったらなんか……むしろ嬉しかった。 ちゃんとただの過去として昇華できてたんだって、安心した。 そんなことより、優花を見てムッとしてる理子が可愛すぎてたまんなかった」
そこでまた長嶺さんの目に捉えられて、ドキッとする。
「もっと嫉妬しろって思った。 もっと嫉妬して、怒って泣いて俺に縋りついてくればいいのにって」
「……っ」
ついさっきまで胸を覆ってた黒いモヤが一気に晴れていって、代わりに熱いものが込み上げてくる。
「……それなのに」
グッと顎を掴まれて、少し強引に長嶺さんの方に向かされた。
「!?」
キスしちゃいそうな距離で、蔑むような目つきで絡めとられてドクンと心臓が大きく脈打った。