長嶺さん、大丈夫ですか？
「唯さんにドキッとしたのは俳優さんみたいで驚いただけで……長嶺さんにするドキドキとは全然違います」


　予想外だったのか、長嶺さんは少し目を大きくする。


「私、長嶺さんがいるとホッとします。　でもこうやって近づかれると心臓が破裂しそうなほどドキドキします。　恥ずかしくて、でも離れて欲しくなくて、どうしていいかわからなくなってクラクラしてきます。　ほんとは長嶺さんが優花さんと話してる時モヤモヤして腹が立って仕方なかったですし、不安でどうにかなっちゃいそうでした」

「……理子ちゃん」

「ひどいです」

「え……？」

「こんなのもう引き返せないじゃないですか……っ」


　キャパオーバーして、涙がボロッとあふれ出した。


「もう、どうしてくれるんですか……最悪」


　落ちてる、とっくに。

　もう抜け出せないところまで深く、落ちてる。


「理子ちゃん……」


　ボロボロ、ボロボロ。

　溢れる涙は止まらない。

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