長嶺さん、大丈夫ですか?


 長嶺さんが好き。

 すごく好き。


「長嶺さん」


 もうずっと心が揺れ動いてて、心臓が痛い。

 これからのことを考えたら不安で仕方ない。

 それでも、この気持ちは抑えられない。


「私、やっぱり長嶺さんのこと独り占めしたいです。 だから……」



 ――私を長嶺さんの彼女にしてくれませんか 



 そう言おうとした時だった。

 長嶺さんが顔を傾けて、


 キスをした。


「!」


「……あ、しちゃった」


 長嶺さんが間の抜けた声を漏らした。


「あー……仕事中しないって言ってたのに」


 そう言いながら長嶺さんは、もう一度唇をちゅ、と軽く押し付ける。


「っ、な、長嶺さ……っ」

「もう一回も二回も変わんないっしょ」

「か、変わりますよ! だめです、こんなとこ誰かに見られー……」


 私の口を塞ぐようにして長嶺さんは、もう一度唇を寄せる。

 さっきの軽いキスとは違う、優しく、丁寧なキス。
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