長嶺さん、大丈夫ですか?
 むにっと頬をつまんでみせると、理子ちゃんがムッとしてジタバタする。


「なにふるんでふかっ」


 でもどこか嬉しそう。


「理子ちゃんてほんと顔に出るよね」


 理子ちゃんがはぁ?と顔を顰めて俺の手を退けた。


「何言ってるんですか。 どっちかと言うと出ない方ですよ」

「……そっか」


 自覚ないのか。
 確かに仕事中は表情筋固まってる時間の方が長いけど、口から出る言葉より顔に出る喜怒哀楽の方が圧倒的にわかりやすい。

 ……これからオフィスラブしようってのに、大丈夫か?
 いや、バレる。 時間の問題だ。
 皐月姐さんあたりはもうとっくに気付いてるだろうし、俺たちが属してるのは法人営業部。
 顔色読むのに長けたやつだらけだし、何より部長が密かにお気に入りの理子ちゃんの変化に気付かないわけない。
 となると、俺はトレーナーを外される。
 場合によっては即異動。

 ……さて。 どうしたものか。
 

 そこでサイドテーブル上の理子ちゃんのスマホが鳴った。 どうやらメッセージ受信。


「ん? 誰だろう。 ちょっとすみません」


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