長嶺さん、大丈夫ですか?
……と、そこまで喋って喋りすぎたことに気がつく。 いつのまにか敬語を使うのも忘れていた。
というか若い女の子捕まえて説教じみたことを言ってしまったと、恐る恐る麗華さんの顔を見て、ハッとする。
麗華さんは頬がほんのり赤く染まり、目はトロンとして熱を帯びている。
それはシトミズカンパニーに通っていたときにいつも見せていた表情、そのままだった。
別の意味でやばい、と思ったそのとき、公園の側をタクシーが横切っていくのが見えた。
あっ、どうして思いつかなかったんだ。
すぐさま走って行って、信号待ちしていた空車のタクシーを捕まえる。
「麗華さん! 乗ってください!」
ベンチでボーッとしていた麗華さんを手招きすると、麗華さんは困惑しながらも小走りでやってきて、俺に促されるままタクシーに乗り込む。
運転手にシトミズカンパニーの住所を言って、扉を閉めさせた。