長嶺さん、大丈夫ですか?
 麗華さんはにっこりと大人っぽい笑みを見せる。


「これは老婆心で言ってあげますけど……ああいう男はいくらでも口から出まかせ言えるんです。あなたがめんどくさそうな女だから『付き合ってる』ってことにしてるだけで、好きだよ~なんて甘い言葉はセフレ全員に言ってるんですよ」

「で、でも、私長嶺さんの家に入れてもらってます。女の子家にあげない主義って……」

「……あぁ、わたしも行ったことありますよ?」

「……え?」

「家あそこですよね、向かいにオクムラヤがある三階建てのアパート。もっといいとこ住んでると思ったら意外ですよねー」


 嘘……嘘だ……

 あれ……? どれが、どこまで……誰が、嘘……?


「家まで我慢できなくて公園でエッチなことしちゃったこともあったなぁ。 理子さんは? 車の中とかでもしたことあります?」

「っ、やめてください、聞きたくないです」


 耐えられなくなって耳を塞ごうとする私の手を、麗華さんがはぎとった。


「そっちこそ、やめといたほうがいいですよ」

「え……?」


 その時、麗華さんがふ、と自嘲気味に笑った。

 
「本気になったって報われないんだから」


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