長嶺さん、大丈夫ですか?
 そのかすれ声が愛おしくて、切ない。



「このまま俺と付き合い続けるの……つらい?」



 つらい。



「……っ」



 そう言ったら、全部終わってしまう予感がした。

 でも、つらくないですって嘘をつくこともできなくて

 声にならなくて、長嶺さんの背中をギュッと掴んだ。



「…………だよね」



 そのつぶやきで、長嶺さんは私のことなんかなんでもお見通しだったことを思い出して、慌てて体を離して長嶺さんに縋る。


「違いますっ、私、……!」


 長嶺さんの目に涙が滲んでるなんて、思わなくて。


「ごめん。 つらいわ」



 息を呑む私に長嶺さんは困ったように笑って、その表情を隠すように私の肩に頭をのせる。

 長嶺さんの後ろに広がる夜景はやっぱり綺麗で、腹立たしくなるほどロマンチックで



「つらいのは俺の方なんだ」



 そんなロマンチックな夜に、長嶺さんは聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で言った。



「別れよ」








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