長嶺さん、大丈夫ですか?
「あはは、絶対そうだ。光が言ってたもん、会社に美人で酒豪の大学ん時から仲良い先輩がいるって。大学ん時にはクイーンオブクイーンって呼ば、」

「ちょっと待って」


 東さんは手のひらを太一さんに突き出してストップポーズをすると、顔に影を落としたままスマホを耳に当てた。
 数コール後、『はーい』と男性の声が音漏れして、心臓がドキンと飛び跳ねる。


「おいこら長嶺何をペラッペラ喋ってくれとんねん奥歯ガタガタ言わしたろか?」


 笑顔を顔から消し忘れてる東さんは、スラスラと美しくない暴言を吐いた。
 完全にキャラ崩壊する東さんに男性陣が面食らっている中、太一さんだけケラケラ笑っている。
 そして、電話口から笑い混じりの声がする。


『なに、なにごと』


 久しぶりに聞く長嶺さんの飾らない声に、胸がぎゅう、と苦しくなった。


「てかあんたこそなにしてんのよ!いまどこ!?」

『どこって、普通に家だけど』

「じゃあ来なさい!あんたに直接言いたいことがあんのよ!!」


 !?

 
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