長嶺さん、大丈夫ですか?

「あの……よかったんですか」

「ん?」

「合コンに来たってことは女性と出会いに来たんですよね。私と二人で抜け出しちゃってよかったんですか」


 きっと太一さんは居心地悪そうにするわたしを哀れに思って連れ出してくれたんだろうけど、東さんを除く他二人は太一さんと話したそうにしていたし、せっかくの機会を私に付き添って無くしてしまってたら申し訳ない。
 太一さんはクハッと心底おかしそうに笑って、私の目をまっすぐに見て言う。


「タイプの子を落とそうとしてるだけだけど」

「……」


 こういう冗談か本気かわからないことを言うところ。

 長嶺さんとそっくりだ。


「私、落ちませんよ」

「どうかな」


 太一さんは私の方に身体を向けて顔をのぞきこませる。


「〝寂しい〟〝誰か助けて〟って顔に書いてあるよ」


 ドキッとしたのは、顔の近さのせいか、本音に近かったからか。


「……思ってませんよ、そんなこと」

「そう? しんどいのはほんとでしょ」

「……」


 私はモスコミュールを口にした。

 炭酸のはじける刺激、苦みの中にある甘みが口の中に広がって、体温をほんの少しあげる。


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