長嶺さん、大丈夫ですか?
「セフレとはいえ女の子と関係切るって簡単じゃねぇんだよ。それまで遊びつくしてたアラサーの男が若い女の子相手に本気になるってめんどくせぇしなんかダセェし、その上会社の後輩って、かなりハイリスクだろ。でも、リスクおかしてでも、キャラに合わないことしてでも理子と一緒にいようとしてたよ、光は」



 ――生半可な気持ちじゃないよ

 ――いろんなもの犠牲にしてでも 花樫さんが欲しいと思ったんだ



「理子は違うの?」



 ――好きだよ 理子 すげぇ好き



「っ……」



 私だって

 全部どうでもよくなるぐらい長嶺さんのことが好きだったのに



「好きです……一緒にいたいです」



 どうしてイヴの日、素直にこの言葉を言えなかったんだろう。

 どうして受け取るばかりで、怖がるばかりで、何もしなかったんだろう。



「ずっとずっと、一緒に居たいです……っ」



 ボロッと大量の涙が溢れ出した。


 まだ間に合うだろうか。

 こんな私でも、長嶺さんに会いに行っていいだろうか。

 長嶺さんを幸せにしたいって、思ってもいいだろうか。



「わた、私、」

「うん」


 太一さんが微笑んで、私の頬の涙に触れようと手を伸ばした。




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