長嶺さん、大丈夫ですか?
重い男×重い女。
それから長嶺さんは、私を連れてネオンが眩しい駅の方へと速足で歩いていく。
長嶺さんは部屋着のスウェットにブルゾンを羽織っただけの脱力した格好で、東さんとの電話で家にいると言っていたことを思い出す。
赤信号に引っかかると、長嶺さんは熱そうにブルゾンを脱いだ。
そしてまた私の手をギュッと握る。
「好きなの?太一のこと」
「えっ?」
長嶺さんは前方の信号機を見つめたまま、私と目を合わせようとしない。
「言ってたじゃん。ずっと一緒にいたいですって」
「え……あ、」
「だめだよ、太一は!誰彼構わず手出すし、今だって日替わりで女の子と遊んでるようなクズだし一人の女の子を大事にするタイプじゃないんだよ!もしかして理子ちゃんそういう男が趣味なの?目を覚ませ、破滅するぞ!」