長嶺さん、大丈夫ですか?
「ぶっ……あっはは!」


 長嶺さんが笑い出した。
 久しぶりに間近で見たふにゃ笑顔が可愛くて、胸がキュンとする。


「人生イチ恥ずかしかった!」

「っ、こっちのセリフですよ、なんでよりによってあんな駅前の人が多いところで……!」

「証人多い方がいいかなって」

「証人……?」

「盗撮されてSNSで拡散でもされればいいかなって思ったんだけど」

「は……?何言ってるんですか?」


 長嶺さんは私の両手を掬って握り、微笑む。


「俺がプロポーズするほど理子のこと好きだってこと。俺たちのこと知ってる人、知らない人、全員に知れ渡ればいいと思ったんだ」


 そう言って手の甲にキスを落とした。


「そしたら悪さしようにもできないでしょ」

「……は……?」


 私の不安を、減らすため?

 ……信じられない。


「破天荒すぎますよ」


 長嶺さんの大きな愛を感じて、また目頭が熱くなった。
 長嶺さんはフ、と笑って私を抱き寄せる。


「そんな破天荒と結婚の約束しちゃったじゃん。大丈夫?」

「……」


 長嶺さんに出会うまで、こんなに人を好きになることがあるなんて、思わなかった。


「そうですね」


 こうして傍にいれることが嬉しくて嬉しくて、涙することがあるなんて思わなかった。
 全部、長嶺さんが教えてくれた。


「楽しみです」


 声の上擦りを抑えられないまま、ぎゅっと抱きしめ返した。
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