長嶺さん、大丈夫ですか?
「……」


 長嶺さんの反応がなくて心配になって、体を動かして長嶺さんの顔を覗き見る。


「ちょ……いま見ないで」


 泣いてる。

 長嶺さんが泣いてる。


「え……?なんで、泣いて……」


 長嶺さんは私の視線から逃れるようにもう一度私を抱きしめた。


「俺……もう理子がいないと駄目っぽい」


 うわごとのように言った長嶺さんは、抱きしめる力をわずかに強くする。


「多分俺は、理子が思ってるより弱いしダメな人間だよ。探せばもっと理子に合ういい男がいくらでもいると思う。でも、ごめん。もう離してやれない」


 そして、小さな声で言った。


「……福岡、ついてきて」


 ドクン、と胸が高鳴った。


「一緒に住もう。一緒に寝て一緒に起きて一緒に朝ごはん、食べよ」

「……」


 長嶺さんと、一緒に住む……?


「お願い。ずっとそばにいて」


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