長嶺さん、大丈夫ですか?
「社長。 せっかくですが」


 口火を切ったのは私じゃなく、長嶺さんだった。


「御社との契約は白紙にさせてください」


 長嶺さんは契約書を手にして、思い切り破いた。


 !?


 社長の口角がヒクッと痙攣するのを見た。


 長嶺さんの手でビリビリと破かれる契約書は取り返しがつかないほど細かくなって、目の据わった社長をバックにヒラヒラと舞い落ちていく。


「花樫にこんな顔させるお方が代表の会社と契約しては、我が社の沽券にかかわります」

「っ、な、長嶺さん…!?」


 何言ってるの!?

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