長嶺さん、大丈夫ですか?
 メッセージには、『花樫さん、本日はありがとうございました』 と書かれている。
 新卒とは思えない、しっかりしてて礼儀正しくて素敵な子だ。


「……ねぇ。会社の名義も長嶺に変えたら?あ、俺が花樫に変えようかな」


 私のメッセージを見たのか、光さんは私の肩に気だるげに頭をもたれさせる。


「なんでですか、ややこしくなるじゃないですか」

「わかりやすくなるよ。理子が俺のものだって」


 そう言って光さんは私の耳にキスをする。


「ちょっ……だめですって……んっ」


 光さんは容赦なく私の体を丁寧に触れながら耳から首筋にキスを落としていく。


「いいじゃん、ちょっとだけ。誰もいないし、俺たちは夫婦だし。なにより給湯室でこんなことできる機会そうないし燃えてきた」

「もっ、変態っ!」

「ふ」


 昔よりいくらか色気が増した光さんがクツクツと笑う。


「相変わらず煽り上手だね、理子」


 光さんは私の頬に手を添えて、丹念に私の唇を味わい始める。


「ん……、」


 これをされるともう抵抗する気が失せてしまうのは、慣例のこと。


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