長嶺さん、大丈夫ですか?
「ダメーーーーー!!」



 ズドンッ。


「いっ!?」


 鈍い痛みに、ハッと目を開けた。

 そして耳に届く、
 小鳥のさえずりチュンチュンチュン。


「…………え?」


 そこは日当たり最悪なジメッとした四畳半。
 普通に、自分の部屋である。

 そこで6時半を報せるスマホのアラームが鳴った。

 ……つまり、夢?


「理子ちゃん!!」

 ガタガタ!と立て付けの悪い引き戸を開けて、まだ寝ぼけ眼の母・亜由子(あゆこ)が飛び込んできた。

「ダメって、なに!? どうしたの!? 大丈夫!?」

 必死の形相の亜由子はなぜか包丁を逆手に持っている。

「大丈夫、大丈夫だから、落ち着いて。 その物騒なものキッチンに戻して」


 取り乱す亜由子を宥めつつ、まだ心臓はバクバク言っていて、全然大丈夫じゃないし落ち着かない。
 
 夢とはいえ、私、

 
 ――理子の処女、貰っていい?
 

「っ、っ!!」


 突然顔を押さえてしゃがみ込んだ私に、亜由子が「理子ちゃん!?」とまた動揺してる。
 
 なんて夢を見てるの!! 私!!



 

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