長嶺さん、大丈夫ですか?
「そうだ理子ちゃん。 ママ、今日は遅くなるからよろしくね」

「あー、今日デートの日だっけ」

「うん♡」

 そういえば昨日念入りに肌のお手入れをしてたな。
 髪もツヤツヤでくるくるだ。
 頑張ったんだね。 おかげで家事のしわ寄せが全部私に来たけどね。 亜由子が幸せならそれでいいよ。 とっても眠いけどね。

「理子ちゃんも仕事ばっかりしてないで、いつでもデートしていいのよ?」

「そんな予定ないよ」

 亜由子は呆れた、と言わんばかりのため息をつく。

「理子ちゃん。 中学から大学まで女学校育ちって言ったって、いくらなんでも男っけが無さすぎじゃない? 女として産まれて23年、今日まで一度も浮いた話がないなんて……! 信じらんない! お仕事始めたんだから出会いなんていくらでもあるでしょう?」

「……あのね。 みんながみんな恋愛のことばっかり考えてるわけじゃないんだよ。 それに男の人と出会ったら必ず恋に落ちるわけじゃないでしょ。 何もなくても別に変じゃなー……」

「変よ!」

 亜由子が勢いよく立ち上がった。

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