長嶺さん、大丈夫ですか?
「理子ちゃんはママの子なんだから! こーんなに可愛い顔に生まれて、本気出せばアイドル顔負けで引く手あまたなはずなのにどうしてそんなに地味なの!?モテないの!?」

 始まってしまった、とげんなりした私は食べ終わったお皿を持って片付けにかかる。 亜由子は気にせず私につきまとって続ける。

「ママは理子ちゃんがお腹の中にいた頃からずっと神様にお願いしてたのよ。 理子ちゃんが25歳までにキムサク似の高身長高収入イケメンと結婚できますようにって」

 ハードルが高すぎて神様もビックリだよ。

「理子ちゃん。 恋はね、生物の本能よ。 生存本能なの。 いかに優秀な遺伝子を残せるかっていう戦いなのよ。 一度も恋をしたことがないなんて変! 明らかに、変よ!!」

 大きく『反抗期』と書かれたどピンクTシャツに、頭にマグロが刺さってるように見えるヘアバンドをつけた明らかに変な48歳には言われたくない。

「う……っ、ママは理子ちゃんに幸せになって欲しいだけなのに……」

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