長嶺さん、大丈夫ですか?
 ――どんな手を使ってでも 絶対花樫さんのこと守るから


「……っ」


 私は上がりそうになる口角をギッと歯を食いしばって誤魔化した。


「あら変な顔。 歯でも痛いの?」


 私は亜由子を無視して顔を洗おうと洗面所に向かう。


 なんなの、あの上司……っ!

 普段セクハラすれすれの発言しまくってるくせに。 いつもヘラヘラチャラチャラしてるくせに。

 あんなかっこいいこと言われたら、ちょっとときめいちゃうじゃん! 胸からきゅんって音がしちゃったじゃん!!

 もしかして、全部そういうテク? 女の子を落とすためのやり方?

 つい『ここにいてください』とか私らしくないこと言っちゃったじゃん……!
 あのあと、なんか変な空気になっちゃったし!!

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