長嶺さん、大丈夫ですか?
⌒* ⌒*


 

「生後5か月の男の子ですね。 検査の結果次第ですが、見たところ問題なく健康な猫ちゃんです」

 
 マスクした獣医師が検査を終えた子猫を渡しながらそう言ったので、私は体の力が抜けて、顔がほころんだ。


「ありがとうございま……ックシュン!」

「マックシュン」


 後ろにいる長嶺さんが私のくしゃみを復唱した。
 ご機嫌な猫を胸に抱いたまま長嶺さんを睨みつけるけど、長嶺さんは明後日の方を見てごまかしている。


「はは、早く帰らないと風邪ひいちゃいますね。 お気をつけて」

「あっ、すみません……タオルもお茶も、ありがとうございましたっ!」

「いいえ〜」


 優しい獣医師にお礼を言うと、私と長嶺さんと一匹の猫は動物病院を出た。 雨は上がり、しっとりと濡れた夜の街に街灯の光がキラキラと反射している。


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