長嶺さん、大丈夫ですか?
「俺ん家来るかー?」


 長嶺さんが子猫を抱き上げて聞いた。


「ミィー、ミィー」

「そーかそーか。 嬉しいか。 あんま悪さすんなよー?」

「ミィー」


 長嶺さんは優しい表情で子猫を撫でて、子猫も心なしか嬉しそうにしている。


「長嶺さん、いいんですか?」

「まー新しい飼い主が見つかるまでくらいなら面倒見るよ」


 そう言って長嶺さんは肩に上ろうとする子猫をあやしながら荷物を持った。


「明日有給とるかも。 そうなったら電話で引き継ぎするからよろしくね。 じゃ、また会社で。 花樫さんも早く帰って風呂入んなよー」

「えっ、あ、はい……っ」


 長嶺さんは軽く手をあげて私に背を向けた。


「お疲れ様、です……」


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