長嶺さん、大丈夫ですか?
 ――会社の女の子には手出しませんよ 圏外です

 
 そして今日聞こえた長嶺さんの雑談を思い出す。

 
「っ、会社の女の子には手を出さない」


 口に出してみせると、長嶺さんがピタ、と停止する。


「圏外なんですよね」

「あー……」

「じゃあ大丈夫ですね!」

「……」


 何か言いたげな長嶺さんを無視して私は、長嶺さんから子猫を取り上げる。


「連れてってください。 長嶺さんのお宅」

「……」


 長嶺さんは目を細めて、わずかに口角をあげた。


「……何があっても自己責任ね?」

 



 
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