長嶺さん、大丈夫ですか?
「ハハッ、俺ん家来たいって?」

 
 アユ来るの!? アユここに来るの!?!?

 
「それはダメ」

 
 私の懸念を一蹴するように、長嶺さんが速攻で断った。

「ううん、いくらアユのお願いでもそれはできない。 ごめんね。 また今度埋め合わせするから許してよ。 それに今日太一も行くって言ってたし……えー? ハハッ。 うん、うん……うん、じゃあねー」


 長嶺さんはスマホを耳から離して、通話を切った。

 どうやらアユの来訪は免れたようで安心する。

 長嶺さんは特に何か言うこともなく水をトクトクとコップに注いでそこのローテーブルに二つ置いた。


「俺たちも腹減ったなー。 なんかテキトーに作ってもいいけど……ウーバーでも頼むか」

 そう言って私から少し距離をとって座り、またスマホを操作する。


「……あの、長嶺さん」

「んー?」

「その……お友達、ここに呼んでもいいですよ。そしたら私、帰りますし」

「あー、ここに女の子呼ばないの」

「え?」

「修羅場になるから」


 ……シュラバ?


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