長嶺さん、大丈夫ですか?
「……どうしてですか」

「だって俺、こんなだし」
 

 ……だからどうしてそう思うんですか。


『まーまー、長嶺にも色々あるのよ』


 唐突に、東さんが言っていたことを思い出した。

 かつてないくらい長嶺さんが遠くに感じて

 かつてないくらい、長嶺さんを知りたいと思った。



「……あ。 寝た」


 長嶺さんの呟きで、チャコが私の膝で眠っていたことに気がついた。
 そっと毛布の上に移動させてトイレを用意したりしていると、ウーバーが到着した。 長嶺さんが缶ビールを出してくれる。



「お疲れーぃ」


 二人並んで部屋着で缶ビールを合わせた。


 あれ? なんかこれ……


「ハハッ。同棲してるみてぇだな」


 私の思考をそのまましれっと言った長嶺さんに、カカッと顔が熱くなった。

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