長嶺さん、大丈夫ですか?
「食べ終わったらお暇します」

 私は韓国料理をビールで流し込んだ。

「えー帰っちゃうのー? 泊まってけばいいのにぃー」

「思ってもないこと言わなくていいですよ」

「酷いなー、全部思ってるから言ってるのに」

 言いながらビールを飲んで、チャコの寝顔を撮影する長嶺さんは、随分楽しそうで。 またモヤモヤする胸をごまかすようにビールをあおった。

 食べたものを片付けて戻ると、長嶺さんはまだチャコをぼんやりと眺めていた。

 そういえばお風呂出たあたりからずっとボーッとしてる気がする。 いつもテキパキと仕事してるから余計にそう見えるのかもしれない。

 女の子を家に呼ばないということは、長嶺さんのこういう姿を他の女の子は知らないってことなのだろうか。
 だとしたらこれは圏外ガールの特権……ってなにを考えてるんだ私。


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