長嶺さん、大丈夫ですか?
⌒* ⌒*



「どうして私のトレーナーは長嶺さんなんですか!?」

 そして私は、酔っ払っていた。
 上期終わりの慰労会で、ビールをいただいたからだ。
 居酒屋の一室を貸し切った営業部の慰労会は、とても賑やかで、私の訴えはその喧騒に混ざって消える。

「あはは! 長嶺のこと嫌い?」

「嫌いです!」

「即答フゥ~」

 隣に座る営業部の先輩、(あずま)皐月(さつき)さんが、普段無駄口を叩かない私がくだを巻くのが面白いのか、笑いながら私のグラスにビールのおかわりを注いだ。
 お酒はあまり嗜まない方だけど、今日はなぜかビールがおいしい。
 裏表なく、飾らない東さんが隣にいるせいだろうか。
 いつもよりアルコールがまわってフワフワ心地よい感覚に身を任せてみると、なんだか色々どうでもよくなって、いつもおさえている本音がツルツルと口から漏れていく。

「宮廷の王様じゃあるまいし、毎日かわるがわる色んな女性と寝所を共にするなんて……! それもあんな大っぴらに! もう、もうありえません!」

 私はグラスのビールを飲みほして、力任せにドンッと置いた。

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