長嶺さん、大丈夫ですか?
 長嶺さんは熱っぽい目で私を見下ろして、顔の傍についた手を上にスライドさせて代わりに肘をつく。

 必然的に距離が近くなって、長嶺さんの髪からシャンプーの香りが鼻を掠めた。


 あれ……?

 もしかして私、また夢見てる?


 ドクドクと心臓は早鐘を打ち始め、恥ずかしくて目を逸らしたいのに、逸らせない。


「ふ。かーわいい」


 優しく笑った長嶺さんが私の前髪をそっとどかすように梳かして、さっきチャコにしてたみたいな顔をする。


「っ……!」


 違う、夢じゃない。

 夢なんかとは比べ物にならない。

 現実の長嶺さんは夢の10倍、いや、100倍色気が凄い。


「っ、ま、待っ……て」


 なぜか声が上擦ってしまって、うまく喋れない。


「待つ…?なにを?」

「だから、そのっ」


 長嶺さんは余裕そうに微笑んで私の顔をじっと見ている。


「……~~~っ、」


 私は苦肉の策で、顔を腕で隠した。


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