長嶺さん、大丈夫ですか?
「っ、長嶺さん、酔ってるんですか……っ」


 もうキャパオーバーして、なんか泣きそうだ。


「……どうかな」


 長嶺さんがその腕にツツー…と指先を這わせた。


「っ!?」


 思わず腕をどかすと、長嶺さんはその腕を掴んでカーペットに押し付けた。


「っ、あ……っ」


 私の目をつかまえた長嶺さんの目が、見たことない熱を帯びてる気がして

 ドクンッドクンッと心臓の音がさらに大きく鳴った。

 そして、ゆっくりと私の耳元に唇が寄せられる。


「ねぇ理子ちゃん」



 それは、少しかすれ気味の囁き声。



「……俺の顔が崩れるとこ見たくない?」










「ミャー」



 !!



 無垢な目をしたチャコが、いつの間にか毛布から起き上がってこちらを見つめていた。



「「……」」

「ミャー」



 チャコは私たちが遊んでいると思ったのか、こちらにやってきてゴロンと私の隣に寝転んだ。



「……こら。いいとこ邪魔すんな」


 長嶺さんが言って、急に自分が置かれてる状況を理解してサァ、と血の気が引いた。


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