長嶺さん、大丈夫ですか?
 それからアユとヘラヘラ笑ってとりとめのない話をしながら、煙草を燻らせる。

 そして、先ほどまでそこにいた彼女のことを考える。


 ……花樫、理子。

 優等生、メガネ、彼氏なしの23歳。
 表情筋硬め、仕草が上品、だけどたまに口悪い。
 素直、頑張り屋、仕事熱心、スタイル抜群で隠れ美人……

 
 アユとの通話を終えて、部屋に戻る。

 部屋の隅に居心地のいい場所を見つけたらしいチャコは、またウトウトし始めている。
 辺りには盛大にティッシュが散らかされて、ソファに爪とぎのあとがある。


「……かしこいな」


 俺が見えない位置を狙うとは。

 背中のふわふわの毛を呼吸で上下させる姿が可愛すぎて、怒る気になれない。
 色々教えるのは明日にするか……。



――っ、長嶺さん、酔ってるんですか……っ



「……」



 俺はチャコの頭を撫でながら思う。




 めっ……ちゃくちゃ可愛いかったなー。




「……お前がいてくれてよかったよ」



 危うくミイラ取りがミイラになるとこだったよ。



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