長嶺さん、大丈夫ですか？

「まーまー、長嶺にも色々あるのよ、知らんけど。　でもなんで花ちゃんがそんなに怒るの？　花ちゃんが手を出されたわけじゃないんだから気にしなきゃいいじゃん」

　花ちゃんという呼び名が気になりつつも、私はその質問について考える。

　確かに東さんの言う通りだ。

　長嶺さんはこちらがちょっとドキッとすることを言ってくることはあっても、絶対触ったりしないし、距離感も必要最低限でセクハラと呼べるようなことをされた覚えもない。

　むしろ仕事のフォローは的確だし、営業スキルは勉強になることが多々あって、トレーナーとしては申し分ない働きをしてくれている。


「……生理的に無理ってやつでしょうか？」


　首をひねりながらそうぼやいた時、真後ろに気配がした。