長嶺さん、大丈夫ですか?
「あの、長嶺さんはお肉とお魚だったらどちらが好きですか?」

「うーん、魚ですかねぇ」

「本当ですか!?一緒です!じゃあ和食と洋食だったら?」

「和食ですね」

「一緒です~~~♡」

 麗華さん、凄い。 長嶺さんを絶対ものにしてやろうという気概を感じる。
 対する長嶺さん、意外とノリが悪い……?
 
 間もなくエレベータが地上について、私たちはエントランスの外に向かう。

「それでは麗華さん、ここで失礼します。本日はありがとうございました」

 長嶺さんと私は頭を下げて、自動ドアを抜けた。

 はぁ……やっと解放された。

「ああああの!」

 顔を真っ赤にした麗華さんが自動ドアを飛び出してきたので、私も長嶺さんも足を止める。

「あああの、あの、長嶺さん! よっ、良かったら今度、お食事でもいかがですか……!?」

 その手にはプライベートの連絡先を聞くためか、スマホがギュッと握られている。

「……あぁ、いいですね!そしたら今度お父様にご都合聞いてみます」

「あっ、いえ、あの……ふっ、二人きりで……行きたいです!」

 わぁ!デートのお誘い!!
 マジでこの人私のこと見えてないな!?

 
「……」

 
 長嶺さんはしばらく押し黙ると、ニコッと笑う。

 
< 92 / 284 >

この作品をシェア

pagetop