【番外編】花火大会の記憶 ー星空の下、キミとの約束。
紗南の運転で、私達は紗南の自宅に到着した。


「運転ありがとー!」

「ありがと!」


元気に降りて、慣れたように紗南の家へとお邪魔する。

まだ時間も早いので家族は留守にしているようで、リビングにお邪魔して私たちは各々用意した浴衣を広げた。

今日は、地元の夏祭りの日。

病気になって行くことが叶わなかった去年と一昨年を経て、2年振りのお祭り。

気合いバッチリの私たちは、浴衣を用意して、まだ明るい時間から夏祭りの準備を始めた。


「さ、着るよ」

「お願いしまーす!」


相変わらず女子力の塊の紗南。

昔から自分で着つけができるように練習していただけあって、既に着付けもお手の物。

私たちはされるがままに紗南に着付けをお願いした。


「で?なつは最近どうなの?」

「うん?変わりないよ。みんな優しいし。やっぱちょっと気遣われる感じはあるけど」


綾羽の着付けを眺めながら、私は何気なく学校の話をする。


「そうだよね…。」

「通院あるから、部活も難しいし、多少距離が生まれるのは仕方ないよ」


少し心配そうな2人を安心させるように私が笑うと、2人は顔を見合わせる。


「まあ、無理しないように。私達がいるし」

「そうだよなっちゃん!いつでも会いに行くから」

「うん!めっちゃ会いに来てくれるし、それだけで幸せ者だよ!」


優しい親友たちの言葉に、温かい気持ちになる。

にこやかに返せば、少し安心したように笑ってくれた。
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