【番外編】花火大会の記憶 ー星空の下、キミとの約束。
「絶対、何とも思われてないし、妹に対する優しさなんだって伝わってくるんだけどさ。

心臓に悪いんだよね…。変にドキドキしちゃうって言うか…。勘違いしちゃいそうで…」


回転する椅子でくるくると回りながらそうボヤく。

綾羽の着付けを完成させた紗南が立ち上がりその椅子を止めた。


「うーん…、なっちゃんは、シュンくんのこと好きなの?」


その問いに、私は答えることができず口を噤む。


シュンくんが卒業してもうすぐ半年。

半年もの間、ふんわりと考え続けた感情は今になっても答えは出ていなかった。


「好き、なのかな?分かんないんだよね。ほら私、恋とかしたことないじゃん?」


小学校からの幼馴染の2人。

これまでの私の恋愛についても熟知しているので、そんな風に笑うと、ふたりは一瞬顔を見合わせて、小さく、困ったように笑った。
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