【番外編】花火大会の記憶 ー星空の下、キミとの約束。
「わ、びっくりした」

「何だよ急に」


車から離れ、展望台の手すりでお兄ちゃんと話している間に割り込んで、シュンくんに笑いかける。


「ここから見えるの?楽しみだね!」

「見えるって話だけど、人いなさ過ぎて不安になってきたところなんだよね、隼人」

「ああ、見えなかったらごめんな」


ごめんと言いつつ悪びれる様子もないお兄ちゃんと、可笑しそうに笑うシュンくん。


「いーの!一緒に居られるの嬉しいもん!」


その間で、私は無邪気に笑う。


丁度その瞬間、目の前に大きな花火が音を立てて咲き誇った。


「えっ!!すごーい!!」


花火の色に染まって、輝くシュンくんと目が合う。


「綺麗だね」

「ね!」


好きだって気付いた日に、シュンくんと一緒に花火を見られた。

私はこの日を、きっと忘れない。


温かい心を抱き締め、私は次々と上がる満開の花火に目を輝かせていた。
< 35 / 54 >

この作品をシェア

pagetop