【番外編】花火大会の記憶 ー星空の下、キミとの約束。
「綾羽、一個あげる!」


勢いよく火が出続ける花火を渡してくれようとするけど、心無しかその火は弱まってきているようにも見えて。


「えー、もう終わりそうじゃん」


と、私が不満を顕にすると、菜摘はニヤリと笑った。


「と、言うと思って、新しいのもあります!」


準備周到といった様子で、いたずらっぽく笑い、花火をくれる菜摘に口角を緩める。


「楽しそうだね。菜摘」


トンっと肩をぶつけると、菜摘は察した様子で、可愛らしく微笑んだ。


「うんっ、最高の夏だよ」


そう微笑んだ瞳は、やっぱりシュンくんを映していて、私は少しの切なさを振り切るように明るい声を出す。


「はー、悔し。私もいい男探さないとなー」

「えー?綾羽はすぐだよ。ね?恭弥」

「だな、誰だっておとせるよ」

「何それ馬鹿にしてる?」


後ろにいた恭弥の笑みに、私は小さくため息をつきながら笑ってしまった。
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